2026年4月5日
商店街研究卒論応援プロジェクト
卒業論文 「イベントによる商店街の活性化〜天理本通り商店街を事例に〜」
商店街研究卒論応援プロジェクトにご協力いただきました、
大学生による2026年ご提出の研究成果ご紹介させていただきます。
本稿は、商店街の活性化に取り組む現場を題材に、「イベント」がどのように人の流れや地域のつながりを生み出しているのかを丁寧に分析した卒業論文(要約)です。
日々の取り組みやこれまでの活動が、外部の視点からどのように捉えられているのか、また今後に向けた新たな可能性についても示唆に富む内容となっています。
ぜひご一読いただき、天理本通り商店街のこれからについて、皆さまとともに考えるきっかけとなれば幸いです。
D女子大 M様 卒業論文(要約)
「イベントによる商店街の活性化〜天理本通り商店街を事例に〜」
1.研究目的と背景
本研究は、日本各地の商店街で深刻化している衰退傾向に対し、イベントが商店街活性化にどのように寄与するのかを明らかにすることを目的とする。近年、商店街は郊外型大型商業施設の拡大、インターネット通販の普及、人口減少や少子高齢化などの影響を受け、来街者数の減少や空き店舗の増加が進行している。また、商店街が本来担ってきた地域コミュニティの場としての役割も弱体化しており、賑わいの回復は多くの地域において重要な課題となっている。
このような状況を踏まえ、本研究では商店街活性化の手法の一つとして「イベント」に着目し、イベントが集客や地域のつながりに与える影響を分析するとともに、持続的な活性化の方向性を検討した。
2.研究対象としての天理本通り商店街
本研究の対象である天理本通り商店街は、奈良県天理市に位置し、全長約1kmのアーケードが特徴的な商店街である。天理教参拝者の増加とともに発展してきた歴史を持ち、現在では約160店舗が立地している。また、大学や行政との連携を積極的に進めている点が評価され、「新・がんばる商店街77選」にも選定されている。
一方で、来街者数の減少、商店主の高齢化、後継者不足、空き店舗の増加といった全国の商店街と共通する課題を抱えている。これらの課題に対応するため、天理本通り商店街では、フロントランナー店舗の育成、空間価値の向上、情報発信力の強化、大学や行政との協働といった活性化の方向性が示されている。
3.主要イベントと取り組み内容
頂いた資料をもとに様々なイベントを紹介した上で以下の3つを主に深掘りしました。
天理本通り商店街の代表的な取り組みが、年2回開催されている「本ぶらサンデー」である。本イベントでは、商店街内店舗による出店ではなく、外部出店者を積極的に受け入れる形式を採用している点が特徴である。この方式により、普段の商店街にはない商品やサービスが提供され、多様な来街者を呼び込む機会となっている。また、出店者にはリピーターが多く、商店街との継続的な関係性が構築されている。
加えて、「商店街思い出写真展」では、地域住民から提供された写真や思い出を展示し、来場者が付箋でコメントを残す参加型の仕組みが導入されている。天理大学の学生が運営に関わり、展示解説や来場者との交流を行うことで、世代を超えたコミュニケーションの場として機能している。
さらに、新たな試みとして「エブリデイコスプレイヤー」企画が検討されており、コスプレ文化を切り口にした新規来街者層の獲得や情報発信の強化が期待されている。
4.インタビューから明らかになった効果
インタビュー調査から、イベントを通じた最大の成果は「商店街に関わる人が増えたこと」であることが明らかとなった。大学生、外部出店者、地域住民など多様な主体との関係が構築されることで、商店街への愛着が生まれ、継続的な関わりにつながっている。また、イベントをきっかけに商店主自身が新たな取り組みを試みるなど、意識面での変化も確認された。
一方で、イベント時と通常時の賑わいの差や、空き店舗活用の難しさなど、今後解決すべき課題も浮き彫りとなった。
5.イベントを通じた効果の分析
本研究の分析から、イベントは単なる一時的な集客手段ではなく、商店街が外部の価値観やニーズを取り入れる重要な機会であることが示された。特に外部出店者との交流や大学との連携は、商店街内部では得られにくい視点をもたらしている。また、思い出写真展のような取り組みは、地域の歴史や記憶を共有する場となり、住民の商店街への愛着を高める効果を持つ。
しかし、イベントによる賑わいを日常的な商店街の魅力へと転換する仕組みづくりは必要であり、今後もその部分の検討が必要と言える。
6.今後の活性化に向けた提案
本研究では、今後の商店街活性化に向け、以下の点を提案した。
- 天理教本部の祭事と商店街イベントの連携強化
- 小・中・高校生を含む若年層の参加機会の創出
- 年間を通して参加できるスタンプラリー等の継続的施策
- イベント後の反省会による情報共有と改善の仕組みづくり
全国の商店街でも応用可能な提案
- 空き店舗を期間限定で活用する「空き店舗チャレンジ」の推進
具体的には、商店街の空き店舗を期間限定で開放し、学生や地域外のクリエイター、起業志望者に実験的な出店・展示の機会を提供する取り組みである。単なる貸し出しではなく商店街と共同運営し、地域向け企画を必須とすることで、関係人口を「支援者」から「地域経営の担い手」へと育てる。これにより継続的な関係や将来的な移住を促し、商店街の将来像の明確化や地域の魅力再発見を通じて担い手不足の解消にもつなげる。
これらの提案はいずれも、来街者数の増加のみを目的とするものではなく、商店街と継続的に関わる「関係人口」の創出・拡大を重視している点に特徴がある。
7.まとめ
以上より、商店街活性化においては、定住人口や交流人口の増加に加え、関係人口の創出・拡大が有効な手法であることが明らかになった。
天理本通り商店街ではイベントを契機として多様な主体との関係性が形成され、商店街活性化に向けた新たな可能性が示されている。商店街の再生には、単なる集客施策にとどまらず、人々が関わり続けたいと感じる場づくりが不可欠であり、イベントはそのための有効な手段となり得る。本研究で得られた知見は、規模や立地条件の異なる他地域の商店街にも応用可能であると考えられる。
理事長からの御礼
事前に丁寧なご連絡をいただき、またインタビューの際も礼儀正しく、終始気持ちよくお話しさせていただきました。
研究に真摯に向き合う姿勢や熱意が伝わってきたことが、とても印象に残っています。
論文では、天理本通り商店街の取り組みを丁寧に分析していただいており、中でも「関係人口を支援者から地域経営の担い手へと育てる」という視点は、これからの商店街にとって大切な考え方だと感じました。
M様の今後の更なるご活躍をご祈念いたします共に、今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。







